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嘘っぱち日記用
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要するに、最近の私の生活が偏りすぎて
小人達を酷使したのが不満だったらしかった。

「面接のたびに私ばかりこき使われてはたまりません」
親玉格の小人が言う。いつの間に出してきたのか、
奴らはめいめい、自分の前に「○○担当」と書いた
小さな名札を立てかけている。(字が下手だ)
親玉の前には「ハッタリ担当」とあった。

「あー、ねえ。だって人生ハッタリじゃない」
22年も私に仕えておいて今更何を言うのか。馬鹿だ。

「それに最近小説どころか日記も書かないし!」
右端の小人が憤慨した様子で叫ぶ。「創作担当」らしい。

「書いてほしかったら時間とネタを持ってこい」
本当は気力が一番足りないんだけど。むっとしたので
不治の病と生き別れと記憶喪失が登場する、某隣国ドラマ並の
純愛物語を延々と書いてやろうか、と脅したら黙った。馬鹿だ。

「僕なんて偏りすぎて国籍変更されそうだよ」
「私は放置されすぎて死にそう。ほんと枯れた人ね」

学習担当と恋愛担当。……恋愛担当?
そんなの居たの、と言ったら泣いて黙った。
学習担当は中中辞典の間に挟んでおいた。静かになった。

「と、とにかく!」

左端にいた「読書担当」が裏声で叫んだ。声震えてるよあんた。

「飲み会と飲み会の合間に本を読んで寝るだけ、みたいな
 生活を改めるんだ! でなけりゃ僕たちは出て行く!!」

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爪楊枝で突かれるような痛みを感じて眼が覚めた。
枕元に正座した小人達が私を小突いていたのだった。
数えると五人いる。一列に並んで正座していた。

「何すんのよあんたら」
「寝ぼけてても柄が悪いんですか容さんは」
「寝ぼけてるから余計に柄が悪いよ」
「寝ぼけてないときは根性が悪いんだ」
「そもそも寝ぼけてないときなんてあるかしら」
「ちょっと静かに」

私のもっともな抗議に口々に反抗していた小人達だが、
中央に陣取った小人が諌めると大人しく黙った。
こいつが親玉らしい。その他は無視してこれと話すことにする。

「あんたら何よ」

あんたらって。この人ほんと口が悪いね。寝起きが悪い。
根性が悪いのよ。

「煩い」

その他四匹を爪で弾いて黙らせる。中央の小人が心なしか
青ざめたが、私が手を遠ざけると、何とか威厳を保って
口を開いた。

「我々はあなたの脳内で働いていた小人です」

ああ。住み込みの。知ってる知ってる。
それで? 朝っぱらからご主人様起こすほどの用って何?

「朝っぱらといっても既に11時です」

屁理屈言うな家政婦。で何?

「……。貴女の横暴さにはつくづく愛想が尽きました。
 我々は出て行きます。あとは勝手にやってください」



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